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楡林学院への留学の楡林学院への留学のすすめ

東京大学大学院情報学環助教授\安冨歩

大阪外国語大学外国語学部助教授\深尾葉子

私たちは楡林学院がまだ楡林高等専科学校であった2002年秋から、協力関係を維持しています。2003年春に大阪外国語大学(現大阪大学)から、楡林学院に最初の留学生四人が到着し、本格的な交流が始まりました。 この四人の美しい女子学生は、横断幕に迎えられ、学長との夕食に招待され、たちまち楡林学院のスターになりました。それ以来、毎年、大阪外国語大学(現大阪大学)から留学生が滞在しており、その誰もが、非常な満足感を抱いて帰国しています。そのうち多くが当初の予定を延長して滞在しました。現在はカナダ出身の学生も留学中です。

なぜこんなにも楡林学院は留学先として優れているのでしょうか。

第一の理由は、楡林学院の持つ「延安精神」であると思います。大学に昇格して日本の国際協力銀行の陝西省に対する円借款などの資金により、多くの校舎を建設することが可能になったとき、同学院が最初に立てたのは図書館でした。その次に立てたのは学生寮であり、授業をするための建物や、学生のための食堂などを次々と立て、教員のための宿舎を立てました。そしてようやく、学長以下の幹部が仕事をする管理棟が建てられました。それまで彼らが仕事をしていたのは、高専時代に教員が、残業時間に自ら穴を掘り、土をこね、石を運んで建てた窰洞でした。世界中の大学を見渡しても、こういう順番で建物を建設する大学は多くはありません。

第二の理由は、学費が安いことです。他の大学と比較してみればわかりますが、圧倒的な安さです。理由は簡単です。楡林学院は、留学生を受け入れることで、お金儲けをしようと考えていないからです。中国の大学では、資金不足をなんとかするために、先進国からやってくる留学生から高い学費とるところが多いのです。楡林学院は貧困地区の弱小大学ですから、資金不足という点ではどこにも負けません。しかし、劉紅星副校長が明言しておられたように、楡林のような内陸では外国との接触は限られており、留学生に来てもらうことで、学生にも教員にも多くの刺激があることを重視し、留学生から預かった資金は、全て留学生のために使うという明確な方針を持っているのです。このような崇高な心で留学生を迎えてくれる大学は限られています。

第三の理由は、人々の心です。楡林あるいはその周辺の陝北地区は、 人々の心が生きている地域です。私たちがこの地域で活動を展開している理由は、まさにここにあります。人々の心が生きているとはどういうことでしょうか。それは、人々の持っている人格の全体性が失われていないという意味です。もちろん、楡林にも嫌な人はいます。しかし、邪悪さが学校全体を覆う、社会全体を覆う、という事態にはなっていません。真っ直ぐで、自分に忠実な生きた魂を持つ人が多いため、おかしなことがまかり通ることが少ないのです。

第四の理由は、環境です。楡林は現在、急速に工場が建てられ、年々、環境汚染が悪化していますが、それでも中国各地の大都市に比べれば、はるかにましです。楡林は黄土高原とモウス砂漠の接点にあります。それゆえ、周辺には環境を汚染する都市がありません。また、これらの地域の環境は、日本とはまったく異なっており、とても興味深いものです。湿度が低く、気温が低いため、夏がすごしやすく、冬は気温が低いものの、毎日晴天が続くため、爽快です。

第五の理由は、文化です。この地位は秦の始皇帝が万里の長城を建設 した場所であり、多くの遺跡が残っております。遊牧民と農耕民の接触が長く続いたため、双方の特徴の混ざり合った独特の豊かな文化が形成されています。特に、米脂県・佳県などの農村に見られる「窰洞」と呼ばれる美しい建物は、魅力的です。

第六の理由は料理です。独特の環境とあいまって、たくさんのおいしい食べ物があります。この地域の羊肉は、まったく臭みがなく、味が濃いもので、北京などとはまったく違います。気温差が激しく、乾燥した厳しい条件で育った農作物は、これも味と香りが濃いのです。こういった素材を、あまり手をかけずにさっぱりと料理する「楡林菜」は、これが中華料理?とおもうくらい、日本人の口に合います。

第七の理由は語学の上達です。語学とは、教科書に書いてあることを 頭に叩き込むことではありません。その社会のコミュニケーションの手段を身につけることです。楡林学院は留学生が少ないため、中国人学生が押し寄せて来て、たくさんの友達ができます。しかも彼らの多くは、農村出身であり、濃厚な中国っぽさを持っています。そのなかでさまざまのコミュニケーションをとることで、非常な速度で中国語が上達するのです。北京や上海のように国際化された大都会では、決して実現することのできない、中国社会の身体的理解が可能となり、それが急速な中国語力の向上につながります。

以上のような利点がある上に、この大学に設置された、黄土高原生態文化回復センターを中心に、東京大学、大阪外国語大学(現大阪大学)、学習院大学、鳥取大学などのスタッフが、新しい時代の社会の発展の方向を見出すための研究活動を展開しております。私たちは、留学生の皆さんが、その活動に参加してくださることを歓迎します。

楡林学院国際交流事務所
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