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楡林学院留学体験記

大都市では味わえないもの─楡林の生活─

“榆林”ときいて中国のどのあたりに位置するのか即座に答えることのできる人は少ないでしょう。かくいう私も全く知らない状態から留学を決めました。元々北京か大連、東北地方の日本人の少ない大学の情報を日々見ていた私に楡林の存在を教えてくれたのは楡林帰りの先輩でした。彼女は大学を決めかねている私にこういったのです。「楡林は留学生の数が少ないし、中国人の学生と交流できる機会がめちゃくちゃ多いよ!」自分から人の輪にとびこむのに躊躇する私には楡林という都市の名前がキラリと光りました。

そして始まった楡林での留学生活。旅行でないと来ないような内陸部の小さな町、楡林は私の想像以上に発展していて、けれど消費は低めでとても快適に暮らすことができます。

第一に中国人学生と同じ寮なので、日本人がいるときいて部屋に遊びに来たり、道ばたで「こんにちは」と声をかけて来たり、中国人学生との距離が近いという所が上げられます。

第二に方言に接する機会が多く普通話と方言のバイリンガルになれるということです。授業はもちろん普通語ですが、町に出れば方言のオンパレードで二ヶ国語を勉強しているような感覚です。私も最初はちんぷんかんぷんでしたが、中国人の友達と一緒にいるうちに多少は聞き取れるようになりました。方言に興味のあった私には最高の環境でした。

第三に学校の留学生へのサポートが充実しているということです。いかなる困難や質問にも即対応してくれるので、生活面・安全面は心配することがありません。

大都市にはない生活、中国人に囲まれて中国人文化に直接ふれることのできる生活、それは語学の上でも、人生の野経験という意味でも得がたいものであると思います。私の留学生活もあと少しですが、心から楽しかった留学生活だと満足しています。ここで得た友達、出会いは一生のものだと思っています。もし今留学を迷っているのであれば、大都市から一歩ふみだし、楡林の生活を選ぶのも自分の運命を変えることになるかもしれません。チャレンジしてみてはいかがでしょう?きっと多かれ少なかれ人生の糧になると思います。

(村上優)


私は2005年2月から10月末まで中国陝西省楡林市の楡林学院に留学していました。楡林市は陝西省と内モンゴルの境界あたり、黄土高原に位置する小さな都市です。当然、外国人はほとんどいません。日本人留学生と外国人教師が数人ずついるだけでした。ここは「中国」を味わうには、まさに最適の環境と言えると思います。

私は小学校のころから、環境問題に興味を持っていましたが、その思いはかなり漠然としたもので、この留学に踏み切ったきっかけはもっと単純なものでした。人とは違ったことをしてみたい、北京や上海では体験できない「何か」があるかもしれない。はたして、楡林での8ヵ月はやはり、刺激に満ち溢れていました。

楡林でぶつかったいちばんの壁はなんといっても方言です。この地方の方言はかなりきつく、場合によっては中国人でも聞き取れないことがあるそうです。先生方のなまりはそれほどでもないのですが、一歩街に出ればそこはもう別世界。買い物も食事も大変です。当然、初めのころはかなり苦労させられました。しかし2,3ヶ月が経ち、方言にも少し慣れてきたころに驚くべきことがありました。何人かの友達や先生に「あなたの中国語は楡林の方言みたいだ」と、言われるようになったのです。これは標準語を学ぶという点から見れば、あまり喜ぶべきことではないのかもしれません。しかし、実際私はかなりうれしかったです。それだけ現地に「同化」できた、ということなのですから。

さて、留学して半年が経ち後期に入ると、私の所属する中級クラスは一人になってしまいました。毎日が先生とマンツーマンの授業です。大変ですが、非常に充実した生活でした。そんな中ふと、自分がごく自然に授業を受けていることに気がつきました。中国語に慣れたからかもしれません。教室が寮の中にあったからかもしれません。いずれにしろ、私は自分が留学中であることをすっかり忘れるようになっていました。

そんな楽しかった留学生活も残りわずかというときに、深尾先生から楡林における植林の第一人者、老朱を北京の学会に連れてきてほしいという依頼を受けました。この老朱の方言は相当きつく、私も一年前に一度会ったことがあるのですが、そのときは全く聞き取れませんでした。そんな人を北京まで連れて行くというのは、やはりものすごく不安でした。しかし、いざ会って話をしてみると、不思議なことに何個かの単語が頭に入ってきたのです。やはり分からない部分の方が多かったのですが、それでも2~3割は聞き取れたかと思います。驚き半分、嬉しさ半分のまま、北京に急ぎました。北京の会場に着いたら、すでに学会は始まっており、老朱はほとんど準備もないまま演台に上がることになってしまいました。しかも、老朱の言葉は北京の人もあまり聞き取れないようなのです。にもかかわらず、老朱は少しも緊張した様子をみせず、堂々としていました。どこまでもあるがままでいられる老朱。その夜、北京に留学中だった友達を連れてきたときも、とびきりの笑顔で歓迎してくれました。本当に老朱に会えて、よかったと思いました。

こうして私の8ヵ月の留学生活は幕を閉じました。漠然と、目標も見つからないままに過ごしたときもありましたが、この最後の老朱と過ごした数日が一番印象的でした。もしかしたら、この数日のために留学があったのかもしれません。

(石田慎介)

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